卓球女子のリオデジャネイロ五輪代表の伊藤美誠(いとう みま)選手。
リオ五輪で一緒に日の丸を背負う福原愛選手、石川佳純選手と同じく、伊藤選手も卓球経験者の母親が、最初の師でした。
リビングに卓球台を置いた静岡県磐田市の実家は、まさに卓球漬けの日々を送るために建てた家です。
「中途半端は嫌い」「人の成功体験には興味がない」「始めたときから中国に勝てる選手を意識していた」。
その言葉が表す通り、母親は普通の人ではなかった。
練習は幼稚園から帰宅後に毎日7時間で、日付が変わることも度々だったそうです。
今回は、卓球女子のリオ五輪代表である伊藤美誠さんの母親に注目してみました。
伊藤美誠の母親は元卓球選手
リオ五輪の卓球代表である伊藤美誠選手。
2020年東京五輪も20歳で迎える逸材は、卓球選手だった母親の伊藤美乃りさんの競技姿を見て育ち、自然とラケットを握りました。
まだ2歳のときでした。
「娘が始めると言い出して、うれしかった反面、本当にやるのかなって。でも自分で言い出したし、それは大事なことなので。すぐラケットを買いに行ったら、美誠はすごく喜んで、自分で名前を書いていました」
そのころ、美乃りさんは代表入りを狙って毎日練習をこなし、週3回は試合に出場していました。
しかし、娘が初めてラケットを握ったその日に、引退を決断しました。
「自分の練習もあったし、終わったらちょっとどいてね、ってくらいだったんですが、ボールを出したらラケットを引いて、勢いを吸収してから、こすりながら返してきたんですよ。普通は最初はラケットにボールが当たらないですよ。それが台にちゃんと返してくる。あれ?って感じた瞬間に、考えが変わった。こんなことしている場合じゃない。教えよう、と。」
天才少女の誕生は、それほど衝撃的だったようです。
母親の伊藤美乃りさんに引退を決意させた伊藤美誠さんの才能。
その日から、母親の猛特訓が始まりました。
中途半端が嫌いな美乃りさんの特訓が、天才卓球少女を誕生させました。
型破りな英才教育で才能開花!
伊藤美誠選手が卓球の道へ進むことは、必然だったのかもしれません。
母親は美誠さんが、おなかの中にいるときから筒を自作し、卓球の試合をお腹に向けて実況中継するという伊藤家オリジナルの型破りな胎教で英才教育を施してきたからです。
「うるさいのか、ボコボコ蹴っていましたね(笑)。生まれてから、ミルクあげているときにも、映像を見ながら解説したりとか。でも、そのうち意見するようになってみました」
類い稀な伊藤美誠さんの才能は、母親の競技への情熱によって育まれました。
卓球を始めた頃、横浜市内の公民館は練習時間が限られていました。
そこで母親は一大決心をします。
磐田市のほうに自宅を建てることにしました。
伊藤美誠さんが4歳くらいから毎日、磐田市の自宅で練習をやることにしたそうです。
平日は4時間以上、休日は6時間以上の練習がノルマ。
さらに小学校高学年になった伊藤美誠選手のさらなる飛躍へ、母親はある強化策を検討します。
やはりオリンピックに出場するほどの選手は、そのご家族の全力サポートがつきものです。
伊藤美誠さんの母親も、娘の卓球のために家を建てました。
平日は4時間以上、休日は6時間以上の卓球漬けの生活を継続されていました。
リオ五輪に帯同コーチとして同行
母親の伊藤美乃りさんは、強化策として賞金表というものを作りました。
子どものうちから、お金お金ってどうかなとも思ったそうですが、プロとしてやっていく以上、お金って汚いものじゃなくて、大事だと思った美乃りさん。
よくお金は「人生の切符だよ」って言っていたそうです。
自分でしっかり管理して、どこどこに行くには、どのくらい切符が必要だよって。
わからないうちはアドバイスもしますが、しっかりと人生の資金運用というのは、小さい頃から教えていたそうです。
にんじん作戦は当たり、賞金表を初導入した中学1年時の世界ジュニア国内予選で優勝。
「わかりやすいと思いました」と美乃りさんは笑います。
勝負好きな美誠さんの性格との相性は、抜群でした。
「練習所にいって、大人の選手から『お前さん、試合するか』っていわれると、『ただじゃやらないよ。勝ったらジュース2本ね』とかいって、自分を奮い立たせる何かを先に提示していましたね。そうすると、相手も本気になる。ただ試合をするのが好きじゃなかったですね」
伊藤美誠選手にとって、なめられないことが最重要でした。
すでに大人顔負けに強く、手を抜かれては練習にならなかったからです。
あえて相手のモチベーションを上げました。
それでも天才少女は強かった。
リックサックにどっさり「戦利品」を入れて帰ってくる度、母親の美乃りさんは、謝りに行くハメになったそうです。
伊藤美誠さんの母親の伊藤美乃りさんは、競技面だけでなく、精神面でも娘をサポートするため、日本体育協会認定の上級指導員や公認コーチの資格、さらに整体師の免許も取得しました。
「娘のまわりのいろんなスタッフさんと共通認識をしておきたい。なにかあったときに娘のサポートをすぐできるように」と力を込めた。
現在は代表スタッフも務めつつ、ナショナルチームの監督レベルである上級コーチの資格取得に向けて猛勉強中。
今回のリオ五輪では、伊藤美乃りさんは帯同コーチとして五輪に同行し、娘の伊藤美誠さんを支えることが分かっています。
「特命コーチ」が隣にいる限り、世界と戦う15歳に怖いものはないのかもしれません。
娘の伊藤美誠さんは、母親の猛特訓に耐える日々。
一方で母親の伊藤美乃りさんもコーチの資格や整体師の免許を取得して娘をサポート。
母親の期待に見事答えた娘は、リオ五輪に挑戦します。
以上が、卓球女子のリオ五輪代表である伊藤美誠さんの母親特集でした。